STAGE2 くらたけ町

〜すもと町のお隣。鯛がよく釣れることで有名なこの町には・・・?〜


海岸沿いの道を、延々歩く3人。


「・・・だから、ご先祖様みたいに冒険してみたいって思ったんだ」
「オレはごせんぞ様より五千円札の方がいいな、ケケッ!」
「もう、何言ってんだよ!」
「・・・あ〜〜、あれ見るんだな」

アズキハカリくんが指差した標識には、はっきり「くらたけ町」と
書かれていました。
「ん?ん?てことは結構歩いたんじゃね?」
「でも、何か全然冒険って感じがしない・・・、
このへんでなんか起こらないかなあ・・・」

「こりゃあっ!!」

「!!?」突然の声に驚く3人。
「〜〜〜ッ、もう、アズキトギ!『怒らないか』じゃなくて『起こらないか』って言ったんだよ!
ふざけるなってば!」
「ち、ちがうよ!今のオレじゃねーって!」
「え?じゃあ・・・」

そして、「それ」に気付いたのはまたしてもアズキハカリくんでした。
「あ、あれ!あそこになんかいるんだな!」

アズキハカリくんが指差した先には、なにやら奇妙なかたまりがもこもこと動いています。
山のように大きく、しかも真っ白なそれは、離れたところからでも異様に目立ちます。

「・・・な、なんだ、あれ・・・?」
「・・・ぼ、ぼうけん・・・、冒険ーーー!」
謎の物体に心を奪われたどんたは走り出しました!
「ああっ、待つんだな!」「え?お、おい待てよ!」

どんたを追いかけるように二人も走り出しました。

「そっち、そっちに回り込め!
よし今じゃ!・・・・あーっ、もう!」



声がはっきり聞こえる頃には、物体の正体も
わかりました。

「あっ、これ、くらたけ町の大えびすじゃん。
なんかで見たぜ」
「大えびす様、どうしたの?」
「おお、よく聞いてくれた。今すごいピンチ
なんじゃ!」

そう言って大えびす様は振り返りました。が・・・
「ぷっ!お、大えびす様の顔・・ピンチなのに
すっごい笑ってるよ・・・?」
「言っちゃダメなんだなどんた。えびす像
ってのは・・・ぷぷ!み、みんなそういう
もんだ」
「で、でもよぉ、いくらえびす像だからって
ひどくね?だってほら、見ろよあの顔ー!」

アズキトギの無礼な発言をきっかけに、3人は
爆笑し始めました

「ぎゃーっはっはっはっは!」

ゴツン!ゴツン!ゴツン!

巨大なたんこぶを乗せた3人に、大えびす様は話し
始めました。
「ピエールのやつが急に言うこと聞かなくなって、
海に飛び込んだんじゃ・・・」


ピエールというのは、大えびす様がいつも抱きかかえて
いる、巨大な石造りの鯛のことです。

「明日になって、ワシがピエールを抱えてないことを
人間たちが気付いたら大騒ぎになるし、ピエールが
本気で暴れたら、船ぐらいすぐ沈めてしまう・・・」

そう言った大えびす様の背中は、なぜだか小さく見えました。



「・・・どんた」
「ん、何、アズキハカリくん?」
「これこそお前が望んでたことなんだな」
「ええっ!?」


ふと、大えびす様は、いつの間にかどんたたちが
いなくなってることに気付きました。
「はて?あやつらどこに・・・」

「おおーっ!これならいけそうだな!」
「うっひょー!怪獣映画だぜ!出動!出動!」

声のするほうに行ってみると、どんたたちが海岸で
茶色い物体を取り囲んでいました。

「な、なんじゃそれは?」
「ぼくが油で作った潜水艦だよ!ぼくたちが
ピエールをつかまえます!」

この言葉に驚いたのは大えびす様の方です。
「む、無理じゃ!あれは大人の妖怪でも手に負えない大物じゃぞ!
ああ・・・子供にグチを言ったワシが悪かった!ピエールはワシとえびす像たちで
なんとかするから・・・」

しかし、あわてる大えびす様をよそに、どんたたちはすっかり乗り気です。
「よし、出発ーーー!」


「おぉぉーーーい!!」



大えびす様の声を背に、3人を乗せたかっぱ潜水艦は
ピエールめがけて発進しました・・・



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