声とも音ともつかない変なものに、二人は顔を見合わせます。


「海の中から聞こえるね・・・」
「ちょっと聞いてみるか」

二人は海面に耳を近づけました。


「そこのあやしいフネぇぇ、とぉぉまれぇぇ〜〜!!」

「あっ、少しマシに聞こえるね」
「お前こそなんなんだな!」

「おぉれはぁぁ、天草の海をぉぉ守るぅぅ大ダコだぁぁ
いつもはぁぁ、ありあけ町のぉぉ海にぃぃ住んでるがぁぁぁ、
近頃ぉぉぉ悪さをするやつがぁぁぁ多いのでぇぇぇ、
こうしてぇぇ、パトロールしてるのだぁぁぁ」


二人が海の中をのぞいてみると、確かに何本もの足が生えた丸いかたまりが
海の底深くでゆらゆら揺れています。
それにしても・・・

「お前が一番怪しいんだな・・・って、どんた言ってやれ」
「なんでぼくなんだよ!」



ガクーン!!



「うわっ!」
突然、油ボートが激しく揺れました。


「船からぁぁぁ降りてこぉぉぉい!姿を見せろぉぉぉ!!」


「タコが怒り始めたんだな!」
「よーし!僕だって冒険家なんだ!アズキハカリくん!ダッシュで逃げるから、
アズキバクダンであいつを威嚇して!」
「うげーーっ!」


返事の代わりに聞こえてきたのは、アズキトギくんの悲惨な声でした。

「そ、そうなんだな・・・忘れてたが、今、死にそうなヤツが一人いるんだな」


アズキボートをフルスピードで走らせれば、大ダコからは逃げられるかもしれませんが、
具合の悪いアズキトギくんがどうなるかわかりません。

「うう、ぼ、ぼくどうすればいいの〜!?」


どんたがパニックに陥っていると、アズキハカリくんがボートのヘリに足をかけて
身を乗り出しました。


「どんた!仲間との友情も、冒険の大事な要素なんだな!」
「・・・!」



なんかよくわからんが、かっこよく見えました。




「飛び込むぞ!」
「うう、よ、よーし!」



ジャボーーーーン!!



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